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見逃さないで! 子どもの弱視は早めの治療が重要

小さなお子様の目の病気の代表的なものは、弱視と斜視です。斜視は片方の目が内側や外側を向くので見た目でわかることもあるのですが、弱視は日常生活ではわかりにくく親も気づきにくい場合が多くあります。

お子様の視力は将来の生活や学習に大きな影響を与えます。弱視の治療は早く始めるほど回復が見込めるため、早期発見と適切な治療が大切です。この記事では子どもの弱視についての概要や弱視の早期発見のポイントなどをご紹介します。

 

目次

  1. 子どもの視力の発達
  2. 子どもの弱視について
  3. 弱視の4つのタイプと治療
  4. 3歳児眼科健診は視力を測定して視弱を見つけ出すチャンス

記事公開日:2024/11/8

 

子どもの視力の発達

生まれたばかりの赤ちゃんの視力はまだぼんやりものが見える程度です。目を使ってものを見ることで網膜から脳に刺激が送られ、だんだんと視力が発達していきます。子どもの目の機能(視力など)は、生まれてから3歳までに急速に発達し、6〜8歳頃までにほぼ完成します。

子どもの弱視とは?

視力が発達する生まれてから6歳くらいまでの期間を感受性期と呼び、この時期に毎日ものを見ることで視力が発達していきます。しかし目の病気・異常・けがなどによってものをはっきり見ることができない状態が続くと、見えない方の目の視力は発達が止まってしまいます。

弱視の治療が遅れると、その後眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても十分な視力が得られません。この状態を弱視と呼びます。

適切な時期に治療すれば弱視は回復する

早期に治療を開始するほど、治療に反応して視力が改善していきます。3歳頃までに弱視を発見できると、小学校入学までに視力がかなり回復します。このためお子さんの視力や目に少しでも心配な点があったら、必ず眼科を受診してください。そして、3歳児健診での視力検査は必ず受けることが大切です。

 

弱視の4つのタイプと治療

屈折異常弱視

【原因】

屈折異常とは、遠視・近視・乱視のことです。これらが両目とも強いためにおこる両目に視力障害です。

いつもはっきりものが見えていない状態でいると、視力が成長しにくくなり弱視のリスクが高まります。目を細めてみる、近づいてものを見るなどで気づけることもありますが、3歳児健診や就学時の健診で視力検査をするまでわからないことも多くあります。

【治療】

適切な眼鏡をかける

不同視弱視(ふどうしじゃくし)

【原因】

片目だけの遠視や乱視のことを不同視といいます。この弱視は、遠視・近視・乱視に左右差が強いために片眼の視力の発達が止まり弱視となる視力障害です。

見える方の目は正常に発達しているため、周囲からはわかりにくく発見されにくい弱視です。3歳児健診や就学時健診でみつかるケースが多いです。

【治療】

適切な眼鏡をかける

必要な時は良く見える方の目をアイパッチで目隠しすることによって弱視となっている方の目だけを使うように訓練(健眼遮閉)

斜視弱視

【原因】

斜視とは両目の視線の方向が揃わないことです。

斜視のある目では網膜の中心部分でものを見ていないため、右目と左目のとらえる映像が異なります。そうすると脳が混乱し斜視のある方の目を使わなくなります。このため斜視のある目の視力が発達せず弱視になります。斜視のない眼の視力は良好で、片眼ずつの視力検査や屈折検査で発見します。

斜視が原因ですが、見た目にわからないくらいの軽い斜視の場合は周囲からはわかりにくいことがあります。3歳児健診や就学時健診でみつかるケースが多いです。

【治療】

プリズム眼鏡という特殊な眼鏡をかける、手術で斜視の治療をする、経過をみてアイパッチ(健眼遮閉)など

形態覚遮断弱視(けいたいかくしゃだんじゃくし)

【原因】

先天白内障、眼窩腫瘍、眼瞼腫瘍、角膜混濁、眼瞼下垂、眼帯を装着するなどで、視力が発達する期間に視線が遮られる期間があることが原因で起こる弱視です。

赤ちゃんの目の奥が白く濁る、瞼が十分開かない、斜視(両目の位置が揃わない)などの症状があればすぐに眼科に相談しましょう。

【治療】

原因疾患の治療(手術等)、経過をみて眼鏡をかける・アイパッチ(健眼遮閉)などの治療をする

 

3歳児眼科健診は視力を測定して視弱を見つけ出すチャンス!

3歳児健診での視力検査

健診内容は自治体によって異なりますが、視力検査に関しては一般的に一次検査→2次検査→眼科精密検査の流れで行います。

一次検査

ご家庭で視力検査とアンケートの記入を行い、結果を健診会場に持参します。

二次検査

家庭で視力検査ができなかった・0.5以上の視力が確認できなかった・アンケートに「目で気になることがある」と記入したなど、再検査が必要と判断された時に健診会場でもう一度眼科検査を受けます。

眼科精密検査

二次検査で治療が必要な目の病気を疑われた場合に眼科で精密検査を受けます。

3歳児健診で弱視を見逃してしまうこともあります!

健診をきちんと受けていても、残念ながら弱視の見逃しが起こることがあります。原因として考えられるのは、以下の点です。

  • 家庭での視力検査の限界

一次検査の家庭での視力検査は、とても重要です。しかし正しい方法で検査ができていないこともあります。普段の生活で気になる症状がないと、アンケートに「見えた」と記入してしまい見逃されるケースもあります。

  • 自治体によっては二次検査で屈折検査をしていない

弱視見逃しを防ぐためには眼球の状態を調べる屈折検査が重要と言われており、自治体は簡易な屈折検査機器を導入しはじめています。まだ導入していない場合もありますので、自治体に確認し導入していない場合は眼科や小児科で屈折検査を受けるようにしましょう。

  • 検査の結果「要精密検査」になっても眼科を受診していない

子どもは視力が0.3程度あれば生活に支障が出ません。ご家庭で見え方に異常がないように思えても、「要精密検査」になったら必ず眼科を受診しましょう。

 

もっと詳しく知りたい時や受診に迷った時など、リーバーの医療相談でお医者さんに相談することができますのでぜひご活用ください。

参考文献

公益社団法人日本眼科医会:子どもの弱視・斜視. https://www.gankaikai.or.jp/health/betsu-003/

公益社団法人日本眼科医会:STOP!弱視見逃し~3歳児眼科健診における屈折検査の導入と精度管理に向けて~(PDF).https://www.gankaikai.or.jp/school-health/stop_amblyopia.pdf

公益社団法人日本視能訓練士協会:3歳児健診の視覚検査. https://www.jaco.or.jp/ippan/sansaiji/

日本弱視学会:斜視・弱視の病気の説明. https://www.jasa-web.jp/general/medical-list