やけどは1年を通して起こりますが、冬になると暖房器具やあたたかい飲食物に接する機会が増えるためその危険がより高まります。特に子どもの皮膚は大人に比べて薄いので、大人に比べて深いやけどになりやすい傾向があります。子どものやけどは第一に予防が大切です。年末年始、自宅以外に滞在することが多くなる時期ですので、より一層注意が必要です。そこで今回は、やけどの原因や予防方法、やけどしてしまった時の対応についてご紹介します。
目次
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記事公開日:2024.12.20
やけどの原因とやけどを防ぐための対策
冬になると、暖房器具やあたたかい飲食物に接する機会が増えます。熱を伴うものがあるところは子どもがやけどする可能性があります。子どもの年齢によって起こりうる事故の種類も違いますので、日々お子様の様子を見て危険がないか注意しておきましょう。
ここでは特に小さなお子様がやけどをしやすい状況をいくつかご紹介します。
暖房器具によるストーブ・ヒーター
【対策】
- 子どもが直接触れないように柵などで囲む
- 小さな子どもが近づける場所に置かない
- 上にやかんなどを置かない
- 直接触れていなくても温風があたり続けることでやけどすることがあるので暖房器具と十分距離を取り長時間当たり続けない
アイロン
子どもがアイロンのコードをひっぱり引きずり落とす事故も発生しています。
【対策】
- 子どもが近づける場所に置かない
- 取扱説明書で安全な使い方を確認
グリル付きこんろ
1歳前後の身長とグリルの位置がほとんど同じなので、簡単に手を触れることができます。使用後もしばらくグリル窓の高温が続きます。
【対策】
- 使用中・使用後温度が下がるまでは子どもをグリルに近づけない
- 歩き始めやつかまり立ちする時期の子どもがいる場合、危険の高い時期はキッチンに入れない・グリルを使用しないという選択肢も
- 高温抑制できる製品を選ぶ
電気ポット・やかん・炊飯器・加湿器(蒸気によるやけど)
高温の蒸気が発生するものは、やけどの危険があります。また、中身をひっくり返してやけどする危険もあります。
【対策】
- 倒れても中身がこぼれない製品や高温蒸気への対策機能が付いている製品を選ぶ
- 子どもの手が届かない場所に設置する
ホットカーペット・カイロ・電気毛布・こたつ(低温火傷)
熱源が熱くないので、長時間触れていても熱さや痛みを感じにくいですが、じわじわと皮下組織にまでやけどが生じて気づいた時には重症になっていることがあります。
【対策】
- 長時間使用しない
- ホットカーペットの上に赤ちゃんを寝かせない
テーブルの上の熱い飲み物や食べ物
テーブルクロス引っ張ってテーブルの上にある熱い飲み物が入ったカップなどをひっくり返すことがあります。テーブルクロスは使わないことも考慮しましょう。
手が届かないと思っていても、踏み台を持ってきたりたんすの引き出しを階段にするなど、ありますので予想して対策をしましょう。
【対策】
子どもの手が届かないように置く場所に注意する
ウォーターサーバー
チャイルドロックが外れて熱湯が出る、ウォーターサーバーの背面に入り込み、高音の温水タンクに触れるなどでやけどをしてしまうことがあります。
【対策】
- 乳幼児をウォーターサーバーに近づけない
- チャイルドロックを解除している様子を子どもに見せない
- 定期的に給湯蛇口の確認をする
コイン型電池やボタン電池の誤飲
誤って飲み込むと、喉を詰まらせたり体の中で化学やけどを引き起こし消化管に穴が空いたりする可能性があります。
【対策】
保管場所や廃棄場所などに気をつけて子どもが口に入れてしまわないように注意する
やけどの症状と種類
やけどの程度には深さで何段階かに分けられます。
やけどの深さ
1度:皮膚表面だけのやけど。皮膚が赤くなり、痛みを伴います。傷跡は残りません。数日で治ります。
2度:皮膚に水ぶくれができたり、皮膚がめくれるような状態。2度のやけどはその深さによって1度に近いものから3度に近いものまでばらつきがあります。やけどの深さによって治ってから傷跡が残ったり、白く色が抜けたりすることもあります。1度に近いやけどの場合、強い痛みを伴います。3度に近いやけどの場合痛みがないことが多いです。水ぶくれが破れると感染を起こしやすくなりますので感染を防ぎながら治療しなければなりません。1〜4週間ほどで治ります。
3度:やけどした皮膚が白や黒くなります。皮膚の深くまでやけどしているので、血管や神経も損傷しています。皮膚が壊死した状態になるので痛みや感覚がなくなることもあります。治るまでに1ヶ月以上かかります。
*2度以上のやけどは病院を受診しましょう!
やけどの範囲
子どもの場合、体表面積の10%以上をやけどすると命の危険性があると言われています。1度のやけどであっても、範囲が広い場合は受診した方が良いです。
【やけどの範囲の目安】
やけどした本人の手のひらは体表面積のほぼ1%です。手のひらより大きい範囲をやけどした場合は病院受診した方が良いでしょう。
やけどした時の手当・病院受診の目安
- 速やかに冷やす(水道水でOK)
やけどの程度に関係なくシャワーで流水をかけたり浴槽や桶に水をためた中に入れて20~30分間冷やす
程度が重い場合、無理に服を脱がすと衣類に皮膚がくっついて剥がれてしまい感染の原因になるので、服をきている場合は服の上から冷やす
*氷や保冷剤、冷却シートなどを直接当てると悪化させることがあるため使用しない
*全身を冷やしすぎると低体温になるためやけどした部分だけを冷やす - 冷やしながらやけどした部分を観察
- やけどの様子によって病院受診
やけどの様子 病院受診 - やけどの範囲が腕1本・足1本程度やけど
- 皮膚が白or黒くなっている
- 顔のやけど
- 火事や熱気や煙を吸って息苦しそう
- ぐったりしている
救急車を呼ぶ - やけどの範囲が子どもの手のひらよりも大きい
- 水膨れになっている
- 皮膚が剥がれている
- 関節、陰部のやけど
すぐに病院受診 - やけどの範囲が子どもの手のひらよりも小さい
- 赤くなっているが水ぶくれにはなっていない
家で様子を見てOK
必要があれば診療時間内に病院受診
もっと詳しく知りたい時や受診に迷った時など、リーバーの医療相談でお医者さんに相談することができますのでぜひご活用ください。
参考文献
一般社団法人日本形成外科学会: やけど(熱傷). https://jsprs.or.jp/general/disease/kega_kizuato/yakedo/yakedo.html
公益社団法人日本小児科学会: こどもの救急, やけど. http://kodomo-qq.jp/index.php?pname=yakedo
消費者庁: Vol.610 暖房器具などによるやけどに注意!. https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20221128/
政府広報オンライン: 家の中の思わぬ危険。乳幼児のやけど事故にご注意を!. https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201802/1.html
独立行政法人国民生活センター:こんろのグリルでの子どものやけどに注意-使用後でもグリル窓は高温です-. https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170921_1.html
独立行政法人製品評価技術基盤機構: NewsRelease(2 0 1 9 年 4 月 2 5 日),屋内の事故から子どもを守る
~環境と物選びでもっと安全に~. https://www.nite.go.jp/data/000097814.pdf独立行政法人製品評価技術基盤機構:NewsRelease(2 0 2 1 年 7 月 2 9 日), 子どもに忍び寄る危険 ~やけどを引き起こす様々な要因~.https://www.nite.go.jp/data/000127456.pdf
日本医師会: 白クマ先生の子ども診療所, やけどへの対応方法. https://www.med.or.jp/clinic/kega_yakedo.html