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インフルエンザワクチン 従来のものと新しいものどう違う?

今年もインフルエンザワクチンの接種が始まっていますね。日本では季節性インフルエンザは例年12〜3月頃に感染が広まります。そのため、流行する前の10〜11月頃にワクチンの接種が始まります。今年は新しいインフルエンザワクチンの接種が開始となりました。メリットやデメリット、今までのワクチンとどう違うのかを比較しましたのでご紹介します。

目次

  1. インフルエンザワクチンって必要?

  2. 新しいワクチンの接種が始まっています!〜メリットデメリット〜

  3. 従来のインフルエンザワクチンと新しいインフルエンザワクチンの比較

  4. ワクチン接種以外の感染予防策も大切です!


記事公開日:2024/11/8

子どもにインフルエンザワクチンって必要?

インフルエンザワクチンは接種すれば絶対にかからないというものではありません。しかし接種しておけばインフルエンザの発病を一定程度予防したり、発病後の重症化を防ぐ効果があるとされています。

お子様がインフルエンザに感染すると、まれに急性脳症や肺炎などの重篤な合併症を起こすことがあります。そのため、全てのお子様が推奨接種の対象になっています。特に保育園や幼稚園などの集団生活をしているお子様はインフルエンザワクチンを接種した方が安心でしょう。

新しいインフルエンザワクチンの接種が始まっています!〜メリットデメリット〜

今年から始まった新しいインフルエンザワクチン

2023年に鼻の中に吹き付けるタイプのワクチンが日本で承認され、2024年から接種が可能になりました。このワクチンは生きているウイルスの毒性を弱めたものを原料としている生ワクチンと言われるものです。アメリカでは2023年から、ヨーロッパでは2011年から使用されているもので、2023 年 4 月時点では 36 の国と地域で承認されています。

メリット
  • 鼻に吹き付けるタイプのワクチンなので痛みがない
  • 12歳以下のお子様でも1回の接種で済むため通院回数が減らせる
  • 効果の持続が従来の皮下注射のワクチンより長い
  • 特に子どもは感染予防効果が高いと期待されている
    二つのワクチンの効果を比較した試験は行われていませんが、新しいワクチンはインフルエンザの侵入口である鼻の粘膜に直接吹き付け免疫を成立させるため、特に子どもにおいては高い感染防御効果が期待できると考えられています。
デメリット
  • 接種できる年齢は2歳から19歳未満と限られている
  • ウイルスの毒性を弱めた生ワクチンのため、接種後に軽い風邪症状や発熱が見られることがある
  • 周囲に免疫機能が低い人(乳児、治療や病気で免疫が抑制されている人など)がいる場合は、接種後1〜2週間は接触を避ける必要がある

従来のインフルエンザワクチンと新しいインフルエンザワクチンの比較

ワクチンを接種するなら痛くない方がいいけど、なんだか不安ですよね。そこで、注射のワクチンとどう違うのか比較して見てみましょう。

 

新しいワクチン(鼻スプレー)

従来のワクチン(注射)

種類

生ワクチン:ウイルスの毒性を弱めたもの

不活化ワクチン:ウイルスの感染力や毒性を完全になくしたものが原料

対象者

2歳〜19歳未満

生後6ヶ月〜

接種方法

経鼻(鼻の中に吹き付けるスプレータイプ)

皮下注射

接種回数

1シーズン1回

1シーズン

13歳未満:2回

13歳〜:1回

持続期間

約1年

約5ヶ月

副反応

接種後1週間程度

鼻閉・鼻汁(約60%)、咳・喉の痛みなどの風邪症状(10%以上)、鼻咽頭炎、食欲減退、下痢、腹痛、発熱、活動性低下・疲労・無力症、筋肉痛(10%未満)

*接種後2週間ほどはインフルエンザの検査で陽性になることあり

注射した部分の赤み・しこり・痛み(10~20%)、発熱・頭痛・寒気・だるさ(5~10%)

多くは24時間以内に出現し、通常2~3日で消失

費用

7000~10000円前後

1回3000~5000円前後

*インフルエンザワクチン接種にかかる費用は、自治体によって助成がある場合があります。詳しくはお住まいの自治体のホームページなどをご確認ください。

接種できる/できないにも違いがあります

 

 新しいワクチン(鼻スプレー)

従来のワクチン(注射)

卵アレルギー

重度のアレルギーは接種を避ける

ほとんどの場合接種できる

ゼラチンアレルギー

接種できない

接種できる

妊婦

接種できない

接種できる

喘息

接種できない

接種できる

アスピリン内服中

接種できない

接種できる

免疫機能が低下している人

接種できない

接種できる

授乳婦・周囲に免疫不全患者がいる人

注射タイプのワクチンを推奨

接種できる

発熱している・重篤な急性疾患にかかっている

接種できない

接種できない

*一般的なものを記載しております。ご自身が接種できるかどうか、詳しくは医師にご相談ください。

ワクチンを接種する時期について

ワクチンを接種してから効果が出るまでに2週間かかります。毎年12月から流行シーズンが始まるため、鼻スプレータイプなら11月中までに、注射するタイプのワクチンなら10月〜11月中に1回目、11月中に2回目が打てると安心ですね。

ワクチン接種以外の予防も大切です!

ワクチン接種は完全に感染を予防するわけではありませんので、日頃の感染予防策が大切になります。また周囲の大人が感染予防したり、流行時期は人が多く集まる場所に行く機会を減らすことも感染予防には効果的です。

【感染予防のためにできること】

  • 外出後の手洗い・手指消毒
  • 咳・くしゃみが出る時はマスクの着用など咳エチケットを心がける
  • 室内を適度な湿度に保つ(湿度50~60%程度)
  • 十分休む
  • バランスの取れた栄養
  • 流行時期は人混みを避ける

もっと詳しく知りたい時や受診に迷った時など、リーバーの医療相談でお医者さんに相談することができますのでぜひご活用ください。

参考文献

日本小児科学会: 任意接種ワクチンの小児(15歳未満)への接種. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20241029_ninni.pdf

日本小児科学会: 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方~医療機関の皆様へ~. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240909_keibi_i_vaccine.pdf

日本小児科学会:知っておきたいわくちん情報, インフルエンザワクチン. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_B-13inhuruenza202312.pdf

厚生労働省:令和5年度 今シーズンのインフルエンザ総合対策について. https://www.mhlw.go.jp/stf/index2023.html